57年ぶりに日本で開催されている、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、エキサイティングなスポーツイベントとしてだけではなく、地球の環境問題に光を当てる絶好の機会として期待されています。大会コンセプトは、
「Be better, together /より良い未来へ、ともに進もう。」
これまでのオリンピック・パラリンピックの歴史の中で最も環境に配慮した持続可能な大会を目指し、これからの日本がより持続可能な社会になっていくための一歩を踏み出したのです。その実現のための日本政府や多くの企業による取り組みをここでご紹介します。
持続可能なオリンピック・パラリンピックと将来への取り組み
「Be better, together /より良い未来へ、ともに進もう。」をコンセプトにスタートしたTOKYO 2020は、次の5つのテーマに分けた持続可能プランを設けました。
これらの5つのテーマを掲げることは最終的なゴールではなく、環境に対するアクションを拡大するチャンスとして、小池百合子東京都知事は長期的な取り組みを約束しました。今回のオリンピック・パラリンピック競技大会は、日本が国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)を達成するために、とても大切な足がかりになっているのです。小池都知事は言いました。
「2020年夏季オリンピック・パラリンピックの開催国として、東京は一流の競技施設と素晴らしい体験を提供することに尽力しています。しかし同時に、過去の多くの大会とは異なり、すべてのプランには、長期的な経済的、社会的、環境面のニーズへの取り込みが含まれています。」
TOKYO 2020が生んだエコ遺産
東京は、環境に配慮したオリンピック・パラリンピック大会の最初の開催国として、様々な工夫をしています。
大会の重要なアイテムの一つが、聖火を運ぶトーチです。日本のイメージである桜の花をモチーフにしたトーチは、東日本大震災の被災者用仮設住宅で使用されていた再生アルミニウムを約30%使用しています。121日間かけて47都道府県を通過したトーチは、日本全国に希望の道を作りました。
選手に授与される金、銀、銅のメダルは、国民から寄付された携帯電話やその他の小型電子機器から抽出されたリサイクル素材で作られています。不要になった携帯電話や電子機器を回収するためのボックスなどが多くの企業に設置されました。古い携帯電話などからメダルを作り出すことで、多くの人のリサイクルへの動機付けになればと主催者は考えています。
日本とプラスチック
プラスチックごみは環境汚染の原因の一つとして、よく知られています。プラスチックごみの排出量が世界ワースト2位の日本は、プラごみ対策にますます力を入れています。
3R(Reduce 減らす、Reuse 再利用する、Recycle リサイクルする)は、プラスチックを含むごみ対策の代表的な取り組みです。東京都はプラごみの焼却量を減らそうとしていますが、日本全体ではリサイクルすることから、ごみの排出量を減らすことへとシフトしています。使い捨てのプラスチックを減らすことは重要な取り組みの一つになっており、日本政府は買い物で使われるビニール袋を2030年までに25%削減することを目指しています。
持続可能な社会を目指す企業
持続可能な社会を目指す時、企業の協力は欠かせないものになります。これまでのプラスチック製品を再生プラスチックに置き換えたり、木製や紙製に換える取り組みが増えています。消費者の環境への意識が高まり、より持続可能でエコな選択肢を求めるトレンドが、企業をより創造的にさせ、持続可能なソリューションを生み出すことにつながっているのです。
人気のチョコレート菓子 Kit-Kat は、これまでのプラスチックのパッケージを生分解性の紙製のパッケージに変更しました(紙製パッケージを使った折り鶴の折り方付きです!) P&Gは、食洗機用の液体洗剤のボトルを、海から回収した再生プラスチックで作って発表しました。また今年の初めには、大手コンビニチェーンのセブンイレブンが、おにぎりのプラスチック包装を植物由来の生分解性パッケージに変更しました。セブンイレブンが年間に販売するおにぎりは約22.7億個です!
環境にやさしい取り組みが企業戦略の重要な部分になるにつれて、より多くの企業が自社製品にも環境に負担をかけないための工夫と努力を注いでいくのです。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、日本が世界に持続可能性な取り組みを示し、ポジティブな影響を与えていくチャンスです。地方自治体、各企業、そして日本人ひとりひとりのサポートによって、この大会はスポーツイベントとしてだけでなく、より持続可能な世界に向かって努力していくことの重要な声明になるでしょう。