「パッシブハウス(Passive House)」って何だと思いますか?環境にやさしい住宅や、持続可能な生活をテーマにした話題では、様々な新しい言葉があって覚えきれないほどです。「パッシブハウス」はとてもシンプルで、省エネ住宅のこと。
冷暖房や空気清浄、換気システムなど、パッシブハウスの要素となるものに焦点を当てて、なぜ今パッシブハウスが多くの人から注目されているのかをみていきたいと思います。もし、持ち家なんて夢物語のようだと思っても、この記事には未来のマイホームをちょっとした工夫でエコフレンドリーにできるヒントがありますよ。
パッシブハウスにするためにはどうする?
自宅をよりサステナブル(持続可能な)にしたいと思っていますか?それならパッシブハウスです。パッシブハウスは最小限の冷暖房を使う省エネ住宅です。
正式にパッシブハウスとして認定されるためには、次のようないくつかの条件を満たす必要があります。
断熱性
断熱を重視するパッシブハウスは、高機能の窓を使ったり、間取りを工夫したりして隙間風が入らないようにし、熱を逃さないようになっています。こうすることで、冷暖房に頼らなくても少ないエネルギーで快適に暮らせるようにしています。
気密性
室内の気密性が高いと、家を湿気による傷みから守ることができます。家の機密性は、圧力テストで減圧や加圧を行い、外から家の中に入ってくる空気や、逆に家から外に漏れ出る空気の量を測定して行います。1時間に入れ替わる空気の量が部屋の体積の0.6倍までは許容範囲とされており、パッシブハウスの場合、一般的なテストの5倍(50パスカル)の圧力をかけて行うので、より厳しい基準をクリアしなければならないのです。
換気
換気システムは省エネの重要なポイントの一つです。通常の換気では、冬は外の冷たい空気が室内に入ってきてしまい、夏は外の熱い空気が入ってきて室内が暑くなってしまいます。熱交換換気システムの場合、新鮮な外の空気と、室内からの排気を交換システムの中で混ぜてちょうどいい温度で交換することで、熱を効率よく使います。
窓
家をより持続可能なものにするには、複層窓は欠かせません。国際パッシブハウス協会は、冬季に太陽熱を取り込むことができるよう少なくとも日射透過率は50%は必要だとしています。とは言え、ここ数年の厳しい夏の様子では、温暖化の影響を受けている地域ではもっと低い日射透過率でも良さそうですよね。
防カビ
家をカビから守るには上記の4つの要素が大切です。効果的な換気システムと断熱材、そして窓はLOW-Eガラス(金属膜コーティング)の三層ガラスで、ガラスとガラスの間にはアルゴンガスが充填されていて断熱性バツグン。温暖な気候の地域なら二層ガラスでも十分です。これらの要素を兼ね備えたパッシブハウスは、カビとは無縁の家になるのです。
なぜパッシブハウスが注目されているのか
近年、パッシブハウスが注目されている理由は様々ですが、一番はやはり環境にやさしいからです。パッシブハウスは設計から建設に至るまで、自然や熱エネルギーへの負荷が少なく、環境にやさしい生活を送るための選択肢の一つになっています。
また、パッシブハウスは長期的にみるとコスト面でお得でもあります。確かに、パッシブハウスを建てる時の費用は安いものではありません。同じ規模の普通の家を建てる費用に5〜10%の上乗せは必要になります。しかし、その後の冷暖房費は、普通の家よりもかなり低く抑えることができるのです。
そしてパッシブハウスのもう一つの利点は、いつでも室内の温度が快適であるという点です。普通の家は、室内温度が外の天候に左右されやすく、夏は蒸し暑く、冬は凍えるほど冷えたりもしますが、パッシブハウスの室内は温度が一定しています。また、室内の空気も適切に循環され、換気されるので、清浄に保たれています。
パッシブハウスはどのようにして建てられるのか
パッシブハウスといっても、ほとんどの建材や技法は、普通の家を建てる時のものと共通しています。パッシブハウスの主な要素は、建設の早い段階で施され、無駄なエネルギー消費(とコスト)を防ぐために、家の気密性や断熱性を確保する技法が使われます。
パッシブハウスでよく誤解されるのは、斬新で風変わりな見た目なのではないかというもので、実際にとても素晴らしいデザインのパッシブハウスは数多くありますが、必ずしもではありません。クラシックも、コンテンポラリーも、素朴なデザインも、ゴージャススタイルも、好きなデザインの空間を作ることができます。デザインに関わらず、省エネの家を作ることができるのがパッシブハウスなのです。
パッシブハウスへ
今回パッシブハウスを初めて知った方も、少しその知識をかじったことがある方も、思い切ってパッシブハウスに切り換えてみると、環境と自身のおうち時間にとってとても良い影響があることに気づいていただけたかと思います。はい、確かに初期投資はかさむのですが、長い目で、環境への影響と将来の預金残高を考えたとき、パッシブハウスを建てる価値に気づくことでしょう。
これで、パッシブハウスのメリットとその価値を知っていただいたと思いますが、じゃあ実際どうしたらパッシブハウスを建てられるの?と思いますよね。パッシブハウスを建てる余裕のある幸運な方や、将来のマイホームの参考にされたい方は、PASSIVE HOUSE JAPAN(パッシブハウスジャパン)でパッシブハウスの設計や施工経験のある業者を探すことができます。環境と人の両方にやさしい夢のマイホームプロジェクトを始めてみるのはいかがですか?